株式会社 バイブラントシステム開発

Vibrant System Development Co.,Ltd

解析適用例

 「時間領域のモード解析」および「数値モデル同定解析」の適用例として、SUS板(長辺30cm、短辺20cm、厚さ0.3cmの長方形のステンレス鋼板)を対象とした振動試験記録、超高層RC造建物を対象とした振動試験記録および 首都大学東京が逗子市の地域防災計画の一環として実施している地震観測において収録された表層地盤の鉛直アレー地震記録の解析例を紹介します。ここに逗子市の地震防災に関わる表層地盤の動的特性については、岩楯敞広首都大学東京名誉教授の指導の下に長期にわたって検討してきました。「時間領域のモード解析」より表層地盤の周波数特性が明らかになり、「数値モデル同定解析」では対象地盤の基盤形状に応じて一次元モデル(質点系モデルあるいは重複反射理論モデル)や二次元FEMモデル を使用して解析を行い、物性値特性等について良好な結果を得ています。解析で使用した地震記録は2011311日に発生した東北地方太平洋沖地震(M=9.0)の記録です。これは首都大学東京都市環境学部の小田義也先生より ご提供頂きました。
 また、「時間領域のモード解析」および「数値モデル同定解析」には、一般建屋の建築構造設計に対して有効な活用法があります。構造設計は、建屋の機能性および経済性を考慮し、構造および使用材料等を力学的な合理性から検討して作成された設計図に基づいて行われます。即ち、設計図に 示された複雑な構造やさまざまな材料特性を備えた建屋は、構造解析用数値モデルに表現され、性能照査を実施して、要求性能を満たした設計・施工法であることを検証します。 ここに、構造解析用数値モデルは、その重要性から、 実際に建設される建屋の動的および構造的特性が忠実に表現されたものでなければなりませんが、建設中の建屋において振動計測が実施されれば、「時間領域のモード解析」および 「数値モデル同定解析」より、構造解析用数値モデルの妥当性の検証は容易に可能です。振動計測は、工程管理の厳しい建設現場では地震観測や振動試験は困難であるため 常時微動の観測が現実的な方法として挙げられます。構造物上の常時微動観測記録は、運動方程式の入出力関係を満たすので支障はありません。
 ところで、モード解析で設定しているパラメータは固有値と刺激関数ですが、固有ベクトルは質量を与えて刺激関数より求められます。 ただし、固有ベクトルは規格化されてはじめて評価が可能であり、系本来の自由度(例えば、一般に想定されるFEMモデルの自由度)に対応する観測データがなければ、有意な固有ベクトルを得ることはできません。 しかし、このような観測は物理的に不可能であり、従って、モード解析では系のモード形状に関する検討は困難であると言えます。 この役割を担うのがモード解析結果を参照して実施される数値モデル同定解析です。