株式会社 バイブラントシステム開発

Vibrant System Development Co.,Ltd

木造建物の常時微動観測記録による検証

 構造設計は、建物の機能性および経済性を考慮し、構造種別、構造形式および使用材料等を検討して作成された設計図に基づいて行われます。即ち、構造設計は設計図に示された様々な材料による複雑な構造の建物を構造解析用数値モデルに表現して性能照査を実施し、要求性能を満たした設計・施工法であることを確認します。
 一方、実建物の構造特性および振動特性を把握し、設計図通りに施工されているかどうかを確かめることは重要であると考えます。柱や梁の主要構造部材の組み立て工事が終えた時点で振動計測を行い、建物の固有周波数や部材の物性値を同定して要求性能に照らし、必要であれば構造変更を行うことになろうかと思います。木造建物の場合は主要部材のせん断剛性の値によって固有周波数は大きく変わります。このせん断剛性を含め、木材の物性値はバラツキが大きいため推定すること自体困難であり、常時微動のような振動計測による検証は重要になってきます。
 弊社で開発した「時間領域のモード解析」および「数値モデル同定解析」は、計測記録から建物のモード定数(固有値、固有ベクトル)や物性値(密度、ヤング率、せん断剛性、断面二次モーメント、ねじれ剛性、断面積、減衰係数)を明らかにします。主要構造部材の組み立て工事終了時に振動計測が実施されれば、これら解析より物理的に忠実な実建物の数値モデルが作成され、耐震性能等の検証が可能となります。ここに、振動計測は、工程管理の厳しい建築現場での地震観測や振動試験は困難であり、常時微動の観測が現実的な方法として挙げられます。構造物上の常時微動は、運動方程式の入出力関係を満たすので支障はありません。振動計測に要する時間は2、3時間なので建築工事に差ほどの影響はないと思います。
 図13は設計から建築完了までを示した流れ図です。 柱や梁など主要な構造部材の建築が済んだ時点で常時微動観測を行い、同記録に対して「時間領域のモード解析」および「数値モデル同定解析」を適用して実建物の動的特性を把握し設計検証を行います。そして、その結果次第で構造部材の見直しが行われることになります。ここに、構造解析用数値モデルはFEMモデルで作成します。同モデルにより建物はその細部まで詳細に表現されます。図14に三次元はり要素で表現した木造家屋の一例を示します。S造、RC造も検討可能です。
 常時微動観測記録による実建物の検証は、より安全性の高い建築を可能とします。弊社は、安全性の確保という構造設計の目的を果たすために信頼性の高い技術を提供します。