ハンマリング加振試験データによるステンレス板のモデル同定解析-株式会社バイブラントシステム開発
株式会社 バイブラントシステム開発
Vibrant System Development Co.,Ltd
SUS板の適用例:数値モデル同定解析結果(物性値&周波数特性)
数値モデル同定解析で使用したSUS板のFEMモデルは、板を96個の2.5cm四方の曲げ要素に分割して作成しました。境界条件は、振動試験と同様に、全ての方向をフリーにしました。 解析で設定したパラメータは、ヤング率、密度および減衰係数です。密度はセンサーを含め比較的精度良く推定可能ですが、センサーに附属するケーブルを考慮してパラメータに選定し
ました。同定されたFEMモデルの固有値を表1に示します。モード解析結果に比較して固有周波数はほぼ一致しますが、減衰定数は、 境界が厳密には自由でないため、やや異なります。刺激係数は第一次から0.28、0.19、0.30、0.23であり、いずれも有意な大きさです。ヤング率Eおよび減衰係数hの分布を図3に示します。 双方とも板面一様ではなく、板中央点に関して対象に分布します。ヤング率は、長辺エッジ側中央部が大きく、板中央部が小さいことが指摘され
ます。減衰係数は短辺エッジ側中央部 が特に大きいですが、SUS板を支持するゴムひもの影響と考えられます。伝達関数の比較図を図4に示します。結果は良好です。各モードは、周波数の低い方から、ねじり、長辺
方向の曲げ、2次のねじり、短辺方向の曲げです。以上より、SUS板本来の固有周波数は156.56、167.01、361.84、386.51Hzであり、減衰定数はすべてのモードで0.19%であること
がわかりました。

図3 同定されたSUS板のヤング率および減衰係数の分布

図4 数値モデル同定解析による伝達関数の比較